こんにちは。北野家ガーデニングあれこれの北野です。
この記事では、菌ちゃんプランターでも条件を整えれば、肥料に頼らずジャガイモをしっかり収穫できることを、私自身の実体験をもとに解説します。
新しい培養土や多くの肥料は使わず、古い土・枯れ枝・枯れ草といった身近な資材を活かして、実際にどこまで育ったのか。菌ちゃんプランターの考え方と、ジャガイモ栽培の実例を順を追って紹介します。
これから菌ちゃんプランターでジャガイモを育ててみたい方の参考になれば幸いです。
菌ちゃんプランターとは何か
菌ちゃんプランターは、微生物、特に菌の力を活かして土を育てるプランター栽培です。
一般的なプランター栽培では、
- 鉢底石を敷く
- 新しい培養土を使う
- 肥料を与えて育てる
といった方法が主流ですが、菌ちゃんプランターでは考え方が異なります。
ポイントは、
- 鉢底石の代わりに枯れ枝を使うこと
- 古い土を使うこと
- 枯れ葉や枯れ草等の有機物を菌のエサとして土の中に組み込むこと
です。
なお、糸状菌が目に見えて育ち始めるまでの期間は気温に大きく左右されます。
暖かい3月〜11月の時期であれば、仕込みからおよそ1か月が目安になります。
菌ちゃん農法については、筆者の記事 「肥料高騰対策にも!雑草や剪定枝で作る『菌ちゃん農法』で食卓を守る」 にて、考え方や実践例を詳しく紹介していますので、あわせてご参照ください。

鉢底石の代わりに「枯れ枝」を使う理由
菌ちゃんプランターでは、鉢底石の代わりに5cm前後に裁断した枯れ枝を、プランターの底に厚さ約5cm敷きます。
鉢底石は排水や土留めの役割は果たしますが、それ以上の働きはありません。一方、枯れ枝や枯草、枯れ葉といった有機物には、
- 菌のエサになる
- 分解されて土になる
- 時間とともに土をフカフカにする
という役割があります。
つまり、枯れ枝は単なる代用品ではなく、菌の拠点になります。
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・筆者のYouTubeの「鉢底石いらない?枯れ枝を使う菌ちゃんプランターの仕組み」へリンク
上層から下層へ、菌がつながっていく構造
菌ちゃんプランターは、次のような層構造を作ります。
- 下層:枯れ枝(菌の住処・通気・排水)
- 中層:古い土
- 上層:枯れ葉・枯草・稲わら
- 表層:再び古い土
この構造により、上の枯れ草や枯れ葉から、下の枯れ枝に向かって菌が成長していきます。
その過程で、
- 有機物が分解され
- 微生物が増え
- 土が少しずつ団粒化していく
これが菌ちゃんプランターの大きな特徴です。
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【実例】菌ちゃんプランターで育てた秋ジャガ栽培(動画有)
「本当にそれで作物が育つのか?」
ここが一番気になる点だと思います。
そこで、実際に我が家で育てた秋ジャガイモ栽培を、時系列で紹介します。

9月|秋ジャガの植え付け
9月、春ジャガを収穫したあと、7月に仕込んでおいた菌ちゃんプランターの黒マルチを外し、秋ジャガイモの種イモを植えました。
この時点で、
- 新しい土は使っていません
- 肥料も入れていません
使っているのは、
- 古い土
- 枯れ枝
- 枯れ葉
- 枯草
のみです。
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10月|芽かき作業
生育途中で行ったのが芽かきです。
すべての芽を残すのではなく、
- 太くて立派な茎を3本だけ残し
- それ以外は取り除きました
芽の数を絞ることで養分の分散を防ぎ、イモが太りやすくなります。

12月|収穫
12月、菌ちゃんプランターから無事にジャガイモを収穫できました。
正直、プランターで、しかも肥料に頼らず、ここまで育つとは思っていませんでした。しかし、菌がしっかり働ける環境を作れば、ジャガイモはきちんと応えてくれると実感しました。

・筆者のYouTubeの「菌ちゃんプランターで、ジャガイモは本当に育つのか?」へリンク
菌ちゃんプランター最大の壁「枯れ枝の裁断」(動画有)
ここまで見ると簡単そうに感じるかもしれませんが、実際にやってみて一番大変だったのが枯れ枝の裁断です。
ブルーベリーの剪定枝など、少し太くなると手動の剪定ハサミでは、
- 力が必要
- 本数が多いと手が痛くなる
- 滑ってケガをする危険がある
私自身、力を入れすぎてハサミが滑り、指に血豆ができた経験もあります。
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・筆者のYouTubeの「枯れ枝裁断、正直キツい…電動剪定ハサミで一気に解決」へリンク
電動剪定ハサミを使ってみた正直な感想(動画有)
そこで今回、電動剪定ハサミを使ってみました(※こちらは製品提供を受けています)。
実際に使って感じたのは、
- トリガーを引くだけで切断できる
- 太い枝でも迷いなく切れる
- 作業時間が大幅に短縮される
- 手や指への負担が少ない
という点です。
菌ちゃん農法では、剪定枝や枯れ草を資源として使う前提になります。そのため、裁断作業の負担を下げることが、継続できるかどうかの分かれ目だと感じました。
電動剪定ハサミの詳しい使用感や作業の様子については、 筆者の別記事 「手動剪定ハサミで力がいる・裁断できない問題→電動剪定ハサミで解決」 にて、実体験をもとに詳しく紹介しています。
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・筆者のYouTubeの「電動剪定ハサミで剪定枝を一気に裁断|手動なら1日無理でした」へリンク
1月に行った菌ちゃんプランターの仕込み手順
ここからは、1月に実際に行った菌ちゃんプランターの仕込み方法を紹介します。
枯れ枝を乾かしてから使う理由
剪定したばかりの枝は水分が多く、分解が一気に進みやすい特徴があります。そのため、一度乾燥させた枯れ枝を使うのが基本です。
枯れ枝を5cm前後に裁断する理由
長すぎると空間ができすぎ、短すぎると分解が早く進みすぎます。
空気を含みつつ、ゆっくり分解される長さとして、5cm前後がちょうど良いと感じています。

プランターの底に5cm敷く
裁断した枯れ枝は、押し込まず、自然に落とすように敷きます。ここは排水層であると同時に、菌の拠点です。

古い土を3/4入れる
新品の培養土は使わず、前年まで使っていた古い土を使います。菌ちゃんプランターでは、「きれいな土」よりも菌が動ける土が重要です。

枯れ葉・枯草・稲わら等を乗せ、古い土を被せる
枯れ葉・枯草・稲わら等を量よりも、詰め込まないことを意識して乗せます。空気層を確保することが大切です。そしてその上に古い土を被せます。

たっぷり潅水し、黒マルチをかけ、竹串で小さな穴を2か所あける
最初の水やりは中までしっかり通すことが重要です。その後、黒マルチをかけ、乾燥や温度変化を抑えます。完全密閉せず、通気用に竹串で小さな穴を2か所あけます。
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大阪での栽培スケジュールと考え方
大阪で1月中旬に仕込んだ菌ちゃんプランターは、
3月中旬ごろから菌が整い始めます。
菌ちゃんプランターでは、
気温が安定して暖かくなる
3月から11月の時期であれば、
仕込みからおよそ1か月ほどで
糸状菌が育ち始めます。
ジャガイモは種イモの養分で初期生育できるため、
2月中旬に植えても問題ありません。
芽かきの時期には糸状菌も育ち始め、
菌ちゃん農法として理にかなった流れになります。
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Q. 冬に仕込んだ菌ちゃんプランターは失敗ですか?
A. 失敗ではありません。 冬は菌の動きが鈍いだけで、春に気温が上がると活動を始めます。
ジャガイモの種イモについて
ジャガイモの種イモは、
植え付けの約2か月前からホームセンターなどに並び始めます。
購入したら、すぐに植えずに
👉 軒下などの雨の当たらない明るい場所で芽出し
をしておくのが基本です。
芽出しをしておくことで、
・発芽がそろう
・初期生育が安定する
・腐りにくくなる
といったメリットがあります。
春ジャガに向く品種(動画有)
・筆者のYouTubeの「1月下旬|ジャガイモのタネイモ、もう準備した?植え付け前チェック」へリンク

メークイン
- 細長い形で皮がなめらか
- 煮崩れしにくい
- 生育が安定し、プランター栽培でも失敗しにくい
👉 菌ちゃんプランターとの相性もよく、
初心者から家庭菜園向きの定番品種です。
ダンシャク
- 丸い形でホクホク食感
- 加熱すると煮崩れしやすい
- コロッケ・ポテトサラダ向き
👉 収穫時期を逃すと割れやすいため、
葉が枯れ始めたら早めの収穫がポイントです。
トウヤ
- やや丸みのある形で皮はなめらか
- 芽が浅く、調理しやすい
- 煮崩れしにくく、ホクホク感としっとり感のバランスが良い
- 生育が早めで、収穫期が読みやすい
👉 初期生育が安定しており、
菌ちゃんプランターやプランター栽培でも管理しやすい品種。
メークインとダンシャクの中間的な食味で、
家庭菜園では「まず失敗しにくい万能タイプ」です。
キタアカリ
- ダンシャク系だが、さらにホクホク
- 甘みが強く、味は非常に良い
- 病気にやや弱く、芽数が多くなりやすい
👉 芽かきをしっかり行い、
芽数を絞る管理ができる方向けの品種です。
秋ジャガに向く品種(動画有)
・筆者のYouTubeの「秋ジャガ植えてみた🥔 鉢植えで家庭菜園チャレンジ!」へリンク
ニシユタカ
- 暖地向けに改良された品種
- 高温期でも比較的安定して育つ
- 病気に強く、収量も安定
👉 秋ジャガは気温が高く、
腐敗や病気が出やすいため、
ニシユタカは南大阪などの暖地で特に向いています。
品種選びの目安(まとめ)(動画有)
- 育てやすさ重視
→ メークイン・ニシユタカ・トウヤ - 味重視(ホクホク)
→ ダンシャク・キタアカリ - 初心者・プランター向き
→ メークイン・トウヤ - 秋ジャガ専用
→ ニシユタカ
・筆者のYouTubeの「春ジャガイモの品種選び|初心者・プランター向きはどれ?」へリンク
鉢サイズごとの目安(菌ちゃんプランター)(動画有)
鉢サイズ
菌ちゃんプランターでジャガイモを育てる場合、鉢の容量によって、種イモの数と芽かき後に残す本数の目安を変えると失敗しにくくなります。
タネイモ1個につき必要な実質土容量は、
最低限10ℓ、推奨は15ℓです。
10ℓでも栽培は可能ですが、地下茎(ストロン)が伸びるスペースが限られるため、
イモ数や大きさが抑えられやすくなります。
15ℓあれば、ストロンの伸長とイモ肥大に十分な余裕が生まれ、
プランター栽培でも安定して収穫しやすくなります。
※ プランターは株間が取れるよう、縁から5cm以上内側に植えるのが基本です。
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芽カキで残す本数
12号(20ℓ)鉢「実質土量15ℓ」の菌ちゃんプランターでは、
鉢容量の関係から芽かきは2本残しを基本に推奨しています。
実際に3本残して栽培したところ、
イモ数は増えましたが、
1個あたりは小粒になりました(下の写真参照)。
大きさを重視する場合は2本、
実験や収量比較をしたい場合は3本とし、
目的に応じて調整してください。

12号(20ℓ)鉢「実質土量15ℓ」の場合
- 種イモ:1個
- 約1か月後(手のひらサイズになったら)芽かき後に残す本数:種イモ1個につき2本
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25ℓ鉢の場合
- 種イモ:2個
- 約1か月後(手のひらサイズになったら)芽かき後に残す本数:種イモ1個につき2本
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45ℓ鉢の場合
- 種イモ:3個
- 約1か月後(手のひらサイズになったら)芽かき後に残す本数:種イモ1個につき2本
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補足
※ 芽の本数を増やすほど小芋が増え、本数を絞るほど1個あたりの芋は大きくなります。
※ 初めて菌ちゃんプランターで育てる場合は、鉢サイズに関係なく「種イモ1個につき2本残し」を基本にすると、大きさと収量のバランスが取りやすくなります。
・筆者のYouTubeの「春ジャガイモの植え付け|プランターは何個?芽かきは何本残す?【初心者向け】」へリンク
12号鉢・タネイモ1個・芽かき2本残しの合格点
12号鉢・タネイモ1個・芽かき2本残しの合格点
12号鉢(実質土量約15ℓ)で、
種イモ1個・芽かき2本残しの場合の目安です。
※本記事では、
ピンポン玉(直径約40mm)以上の大きさでカウントしています。
・3〜4個:条件的にやや不調
・5〜7個:適正・成功
・8個以上:非常に良好
・筆者のYouTubeの「じゃがいも1個に必要な土の量は?12号鉢で失敗しない合格ライン【芽かき2本】」へリンク
参考:地植え(一般的な畝)の場合
※同じく
タネイモ1個・芽かき2本残しで育てた場合の目安です。
・5〜7個:条件的にやや不調
・8〜12個:適正・成功
・13個以上:非常に良好合
収穫後の保存方法(動画有)
家庭菜園のジャガイモは、約100日後の6月、
上部が枯れたのをサインに春ジャガを収穫します。
その後の乾燥や保存方法によって、
味や日持ちなど“仕上がりの良し悪し”が
大きく左右されると言っても過言ではありません。
・筆者のYouTubeの「春ジャガイモの正しい保存方法|洗う?洗わない?味を落とさないコツ」へリンク
収穫後すぐ洗わない
- 土は軽く手で落とすだけ
- 水洗いは 保存直前までNG
👉 洗うと腐敗が一気に進みます。

日陰で乾かす(必須)
- 風通しの良い日陰
- 直射日光は絶対NG
- 目安:半日〜1日
目的は
✔ 表面の水分を飛ばす
✔ 傷口を乾かす
※皮が薄い秋ジャガは特に重要
保存方法(家庭菜園の正解)
◎ 新聞紙+段ボール(最もおすすめ)
- 1個ずつ新聞紙に包む
- 段ボールや通気のある箱へ
- フタは完全に閉めない
保存場所
- 冷暗所
- 5〜10℃前後
- 玄関・物置・北側の部屋など
👉 1〜3か月保存可能

○ 紙袋・麻袋保存
- 通気性がある
- 光を遮れる
※ビニール袋はNG(蒸れる)
△ 冷蔵庫(短期のみ)
- 野菜室
- 1〜2週間まで
※低温でデンプンが糖化し、
甘くなるが料理用途は選ぶ
絶対にやってはいけないこと
❌ 日向で放置
❌ 洗ってから保存
❌ 密閉容器
❌ 明るい場所で保存
→ 発芽・緑化・腐敗の原因
秋ジャガ特有の注意点
生育期間が短く、
表皮(コルク層)が十分に成熟しない状態で
収穫されることが多い
そのため傷みやすい
長期保存には不向き
👉 秋ジャガは
「早めに食べる前提で保存」
が基本
保存中の管理(重要)
- 週1回チェック
- 傷んだ芋は即取り除く
1個の腐敗が
👉 全体に広がります。
収穫後のプランターの使い回し
約100日後の6月、上部が枯れたのをサインに春ジャガを収穫したあとは、
- 半分はそのままサツマイモ
- 半分は菌ちゃんプランターの再仕込みをして秋ジャガ
という形で使い分けています。
同じプランターで年2回ジャガイモを育てることも可能です。
まとめ|菌ちゃんプランターは「続けられる家庭菜園」(動画有)
菌ちゃんプランターは、
- 古い土を活かせる
- 剪定枝や枯草を資源にできる
- 肥料に頼りすぎない
という点で、長く続けやすい家庭菜園の方法だと感じています。
もし、
- 古い土の処分に困っている
- 剪定枝の扱いに悩んでいる
- 家庭菜園を無理なく続けたい
そんな方がいれば、ぜひ一度、菌ちゃんプランターを試してみてください。
次回は、芽かきで抜いた茎の再利用や、鉢サイズ別の育ち方の違いについても検証していきます。
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・筆者のYouTubeの「菌ちゃんプランターでジャガイモ作り|枯れ枝裁断が地獄だった…電動剪定ハサミで解決」へリンク
肥料を使った従来栽培について(動画有)
本記事では、菌ちゃんプランターを使い、
肥料を使わずにジャガイモを育てる方法を紹介しました。
一方で、従来どおり肥料を与えて育てたい場合でも、
古い土20ℓに
・牛糞堆肥1.5ℓ
・魚粉0.15ℓ
・草木灰10g
を加えてよく混ぜ、
2週間寝かせた用土でジャガイモ栽培は可能です。
ただし、栽培方法にかかわらず、
12号鉢ではタネイモ1個、芽かきは2本残しが基本となります。
・筆者のInstagramの「ジャガイモがよく育つ!最強の土の配合とは?」へリンク























