植物を育てる際に、土壌のpHが適切でないと、植物は必要な栄養素を吸収できず、根の成長障害や病気を引き起こすことがあります。そのため、ガーデニングを行う際には、土壌のpHを調整することが重要です。
アジサイは、土壌のpHによって花の色が変化することで知られています。土壌が酸性であれば青色、アルカリ性であれば赤色になります。これは、アジサイの花に含まれるアントシアニンという色素が、pHによって変化するためです。
下記に、消石灰、苦土石灰、硫黄粉を使って土壌のpHを調整した結果をまとめています。
土壌が酸性になる理由
日本は雨が多いこともあり、酸性に傾いた土壌が多いようです。
実際に、気象庁の岩手県大船渡市三陸町綾里にある大気環境観測所での、1976~2011年までの36年間の降水の酸性度の経年変化観測結果で、「観測開始直後はpH5.0より大きく比較的酸性度が弱かったのですが、その後はpH4.4~5.0の範囲で推移し、観測した全を通して有意な変化傾向は見られません」とあります。
多くの雨で、土中のアルカリ分(石灰分)が流されます。
使う化成肥料の多くが酸性肥料です。
また、植物は、根から養分を吸収すると、かわりに根から水素イオンを出して、土壌を酸性化します。
土壌のpH(酸度)調整はどうやるの
pH(酸度)測定用の用土1リットルの配合
赤玉7:腐葉土3



上記の用土1リットルに対して水を与えて30分後のpH(酸度)測定
pH:6.2

上記の用土1リットルに対して毎日水やりして2週間後のpH(酸度)測定
pH:6.0

土壌のpH(酸度)を上げるには
消石灰または苦土石灰を使う
用土1リットルに対して消石灰でpHを1上げる量
消石灰を1g混ぜる(文献より)

消石灰を使うメリット
消石灰で土壌にカルシウムを補給できる
用土1リットルに消石灰1gを混ぜて水を与えて30分後のpH(酸度)測定
pH:6.4

用土1リットルに消石灰1gを混ぜて毎日水やりして2週間後のpH(酸度)測定
pH:6.2

用土1リットルに対して苦土石灰でpHを1上げる量
苦土石灰を1.5g混ぜる(文献より)

苦土石灰を使うメリット
苦土石灰で土壌にカルシウムとマグネシウムをを補給できる
用土1リットルに苦土石灰1.5gを混ぜて水を与えて30分後のpH(酸度)測定
pH:6.2

用土1リットルに苦土石灰1.5gを混ぜて毎日水やりして2週間後のpH(酸度)測定
pH:6.5

土壌のpH(酸度)を下げるには
硫黄粉(99.7%)を使う
用土1リットルに対して硫黄粉でpHを1下げる量
硫黄粉を0.6g混ぜる(文献より)
硫黄粉を使うメリット
硫黄粉は、土壌の病害虫や微生物の活動を抑制することで、植物の健康を守る。
用土1リットルに硫黄粉1g(通常用法の1.5倍)を混ぜて水を与えて30分後のpH(酸度)測
pH:6.2


用土1リットルに硫黄粉1g(通常用法の1.5倍)を混ぜて毎日水やりして2週間後のpH(酸度)測定
pH:5.6

用土1リットルに硫黄粉10g(通常用法の15倍)を混ぜて水を与えて30分後のpH(酸度)測定
pH:6.2


用土1リットルに硫黄粉10g(通常用法の15倍)を混ぜて毎日水やりして2週間後のpH(酸度)測定
pH:5.3

園芸用土の酸度調整方法のまとめ
土壌のpH(酸度)を上げるには
・消石灰や苦土石灰を使う
・鉢植えの場合、毎日の水やりで流れていくので用法より多めでちょうどよい
土壌のpH(酸度)を下げるには
・硫黄粉(99.7%)を使う
・鉢植えの場合、毎日の水やりで流れていくので用法より多めでちょうどよい
酸度計と硫黄粉の商品名
土壌酸度(pH)計
・土壌酸度(pH)計A(品番72724、シンワ測定)
硫黄粉
・土壌改革(微粉硫黄99.7%、細井化学工業)