コガネムシ3齢幼虫にメタリッチは効く?年越し幼虫への効果を徹底検証!

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春先、ブルーベリーやバラの鉢植えが元気がなく、「芽が小さい」「葉が展開しない」「花がつかない」――そんな異変を感じたことはありませんか?その原因の一つとして、見えない土中で静かに根を食い荒らす「コガネムシの幼虫(特に年越しした3齢幼虫)」の存在が考えられます。市販の化学農薬に頼らず、自然の力で害虫を抑えたいと考えている園芸愛好家の間で注目されているのが、昆虫寄生性糸状菌「メタリジウム菌」を利用した生物農薬「メタリッチ」です。

今回は、実際に3月から5月にかけて7つの鉢で実施した「年越ししたコガネムシの3齢幼虫に対するメタリッチの効果検証実験」の結果をご紹介します。「本当に効くのか?」「春に撒いて間に合うのか?」「化学農薬とどう使い分けるべきか?」といった疑問に、自らの実験を通じて迫りました。この記事を読むことで、メタリジウム菌の正しい使いどきや限界、そして幼虫駆除の実際の判断基準が見えてくるはずです。春の大切な芽吹きを守るためのヒントになれば幸いです。


メタリッチ販売終了のお知らせ

土壌改良資材として親しまれてきた「メタリッチ」は、コガネムシ幼虫対策などを目的に、多くの園芸家に利用されてきました。微生物の力で防除できる点から有機的な栽培に重宝されていましたが、残念ながら販売終了の見込みが発表されています。

背景説明

メタリッチには昆虫病原糸状菌「メタリジウム菌」が含まれており、土中害虫に効果が期待されていました。しかし農林水産省から「害虫に効果があるなら微生物農薬として登録が必要」との指導が入りました。農薬登録には安全性試験や実証データが求められ、その費用は数億円規模にのぼります。中小メーカーにとっては現実的でなく、結果としてメタリッチは2025年9月をもって販売終了となる見込みです。

まとめ

代替品としては、インド製のメタリジウム菌剤「Katyayani」がAmazonで入手可能です。ただし価格は3kgで約1万円と高価で、kgあたりに換算すると約3,333円となります。参考までに、メタリッチは10kgで約6,000円(kgあたり約600円)でしたので、コスト面では大きな差があります。今後はこうした輸入資材の活用や、他の有機的な防除法との組み合わせが一層求められていくでしょう。

筆者YouTubeの「必見】8月下旬ブルーベリー|水やり前チェック&幼虫対策🫐」へリンク
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◆ 使用製品:メタリッチ(メタリジウム菌製剤)

生物的防除材(Biological Control Agent:BCA)

生物的防除材とは、簡単に言うと、薬剤(化学農薬)ではなく、”自然界にいる「味方の生物」”の力を借りて、害虫や病害を減らす方法です。

メタリッチは、昆虫病原性糸状菌であるメタリジウム属菌を有効成分とした微生物資材型の土壌改良剤です。これらの菌は、主にコガネムシ類やネキリムシなどの土中性害虫に感染・致死させる働きを持ち、農業分野では生物的防除材として利用されます。

梱包・仕様

農協から取り寄せたメタリッチ(片倉コープアグリ株式会社製):

  • 2.5kg × 4袋入り(1箱)

表示されている使用方法

用途施用量
畑作物・茶・花木100g/㎡
果樹・野菜等の苗10g/培養土1kg

期待される効果

土中の甲虫類などの幼虫に感染して体表にカビを生やし、最終的に死亡させる微生物農薬。

◆対コガネムシ幼虫実験

実験体1

2025/03/29実験体1にメタリッチ散布

①12号20ℓ鉢(直径0.36m、表土の面積0.10㎡)
・鉢底石ネットを敷き
・底に用土を入れ
・コガネムシの幼虫を15匹入れ
・用土を足し
・コガネムシの幼虫を10匹入れ
・用土を被せた

 

②メタリッチ使用方法
・水2ℓを入れたバケツにメタリッチを20cc入れ
・良く攪拌
・ジョウロにメタリッチ水を入れて12号20ℓ鉢に散布
・バケツに残ったメタリッチを水で12号20ℓ鉢に散布
・その後は2日に一度潅水

2025/04/15実験体1の生存率

・プラ舟に12号20ℓ鉢をひっくり返してコガネムシの幼虫を数えた
・生存率:20/25=>80%

実験体2

2025/03/29実験体2にメタリッチ散布 

①60ℓ鉢(直径0.52m、表面積0.21㎡)のブルーベリー(オースチン)
・元気なブルーベリーと比較して葉が小さくてコガネムシの幼虫の存在が濃厚

②メタリッチ使用方法
・水5ℓを入れたバケツにメタリッチを60cc入れ
・良く攪拌
・バケツのメタリッチ水を計量カップで60ℓ鉢に潅水
・バケツに残ったメタリッチを水で60ℓ鉢に潅水
・その後は2日に一度潅水

2025/05/18実験体2の生存率

・60ℓ鉢のブルーベリー(オースチン)の葉が成長しないので
プラ舟に60ℓ鉢をひっくり返してコガネムシの幼虫を確認
・生存:1匹、亡骸:2匹

   

反省・考察

・メタリッチは、皮膚が厚いコガネムシの3齢幼虫に効果が薄いことがわかった
・コガネムシの幼虫がいると判断したら用土をさらって駆除するか、ダイアジノン5を撒くべきだった
・根のダメージが大きかったので12号鉢に植え替え強剪定した
・3月下旬にコガネムシの幼虫を疑って、メタリッチを撒いたが、5月中旬までコガネムシの幼虫の被害にあっていたことから手遅れて枯れそう。

実験体3

2025/04/15実験体3にメタリッチ散布

①8号深さ15cm鉢(直径0.24m、表土の面積0.045㎡)
・鉢底石ネットを敷き
・底に用土を入れ
・コガネムシの幼虫を20匹入れ
・用土を被せた

②メタリッチ使用方法
・8号深さ15cm鉢の表土にメタリッチを5cc撒き
・手で表土と良く混ぜて
・8号深さ15cm鉢に潅水
・その後は2日に一度潅水

2025/05/01実験体3の生存率

・プラ舟に8号深さ15cm鉢をひっくり返してコガネムシの幼虫を数えた
・生存率:11/20=>55%

実験体4

2025/04/15実験体4にメタリッチ散布

①12号20ℓ鉢(直径0.36m、表土の面積0.10㎡)
・鉢底石ネットを敷き
・底に用土を入れ
・コガネムシの幼虫を10匹入れ
・用土を足し
・コガネムシの幼虫を10匹入れ
・用土を被せた

 

②メタリッチ使用方法
・直径10mmの支柱で5深さ10cmの穴を4か所あけ
・それぞれの穴にメタリッチを2.5cc入れ、合計10cc入れた
・手で穴を埋め
・表土にさらにメタリッチを5ccを2杯、合計10cc撒、支柱で混和した
・12号20ℓ鉢に潅水
・その後は2日に一度潅水

2025/05/01実験体4の生存率

・プラ舟に12号20ℓ鉢をひっくり返してコガネムシの幼虫を数えた
・生存率:16/20=>80%

実験体5

2025/05/01実験体5にメタリッチ散布

①8号深さ15cm鉢(直径0.24m、表土の面積0.045㎡)
・鉢底石ネットを敷き
・底に用土を入れ
・コガネムシの幼虫を16匹入れ

②メタリッチ使用方法
・8号深さ15cm鉢のコガネムシの幼虫にメタリッチ2.5ccを4杯直接振りかけた
・その上に用土を被せ潅水
・その後は2日に一度潅水

2025/05/16実験体5の生存率

・プラ舟に8号深さ15cm鉢をひっくり返してコガネムシの幼虫を数えた
・生存率:12/16=>75%

実験体6

2025/05/01実験体6にメタリッチ散布

①12号20ℓ鉢(直径0.36m、表土の面積0.10㎡)
・鉢底石ネットを敷き
・底に用土を入れ
・コガネムシの幼虫を10匹入れ
・用土を足し
・コガネムシの幼虫を10匹入れ
・用土を被せた

 

②メタリッチ使用方法
・直径10mmの棒で深さ10cmの穴を8か所あけ
・それぞれの穴にメタリッチを2.5cc入れ、合計20cc入れた
・手で穴を埋め
・表土にさらにメタリッチ2.5ccを8杯、合計20cc撒き、手で混和した
・12号20ℓ鉢に潅水
・その後は2日に一度潅水

2025/05/16実験体6の生存率

・プラ舟に12号20ℓ鉢をひっくり返してコガネムシの幼虫を数えた
・生存率:18/20=>90%

実験体7

2025/05/01実験体7にメタリッチ散布 

①60ℓ鉢(直径0.52m、表面積0.21㎡)のブルーベリー(ミスティ)
・元気なブルーベリーと比較して葉が小さくてコガネムシの幼虫の存在が濃厚

②メタリッチ使用方法
・マルチを取って
・直径15mmの棒で深さ15cmの穴を6か所あけ
・それぞれの穴にメタリッチ5ccを2杯入れ、合計60cc入れた
・手で穴を埋め
・表土にさらにメタリッチを15ccを4杯、合計60cc撒き、
・手で穴を混和し、
・マルチを戻して
・60ℓ鉢に潅水
・その後は2日に一度潅水

   

2025/05/20実験体7にダイアジノン5を散布

・2025/05/16までの年越しした3齢幼虫のメタリッチの生存率より
ダイアジノン5を撒くことを決定
・マルチを取って
・直径15mmの棒で深さ15cmの穴を6か所あけ
・それぞれの穴にダイアジノン5を5cc入れ、合計30cc入れた
・棒で穴を埋め
・マルチを戻して
・60ℓ鉢に潅水
・その後は2日に一度潅水

 

◆まとめ(動画有)

筆者YouTubeの「【必見】8月下旬ブルーベリー|水やり前チェック&幼虫対策🫐」へリンク
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筆者のYouTube動画の「コガネムシの幼虫はカビで退治できる!? メタリジウム菌(メタリッチ)の効果を3齢幼虫で実験!」へリンク

メタリッチ(メタリジウム菌)のまとめ

・メタリジウム菌は、土中の甲虫類等の芋虫をカビて駆除するが、年越ししたコガネムシ3齢幼虫は皮膚がかたくなっているで、菌に感染しにく効果が薄い
春にコガネムシの幼虫の疑いのある苗を発見したら、掘り返して幼虫を駆除するか、それが面倒な場合はダイアジノン5を使用する

メタリッチを使った初夏以降の孵化したコガネムシの幼虫対策

コガネムシの成虫を発見したらその2週間後に表土にメタリッチを混和する(7月頃)
コガネムシの成虫の寿命は45日程度。その間にメスは1回に20~50個程度、合計50~200個程度産卵する。産卵後2週間程度で孵化するので、そこを狙って、メタリッチを撒いて、生まれた1齢幼虫や2齢幼虫を駆除する。
9月中旬に再度表土にメタリッチを混和する
コガネムシは10月の上旬くらいまで産卵するが、9月中旬に撒いたメタリジウム菌は1か月以上生きているので対処できる。
どこに産卵するかわからないので、守りたい全部の鉢に予防的に上記の方法でメタリッチを混和して、生まれたばかりの幼虫を駆除できたら、来年の春はブルーベリー等果樹のコガネムシの幼虫被害は無いはず!?
年越ししたコガネムシの3齢幼虫は、皮膚が厚く硬化しているので、メタリッチ(メタリジウム菌)の効果が薄い。年を越してコガネムシの幼虫の存在を確信したら、物理的に取り除くか、薬剤を使うのが無難。

メタリッチのその他の使い方

メタリッチは甲虫類やネキリムシ等にも効果が期待できる
野菜等苗を植える時に、メタリッチを撒いて混和すれば、アリが巣を作っている時やネキリムシが隠れている時に、メタリジウム菌でカビていなくなることが期待できる

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